第66章 中野家のガキどもは、一体今まで何をしていたんだ

オフィスのエアコンが効いた室内で、中尾美希のねっとりした視線が中野航平の整った横顔に吸い寄せられる。

長谷川栞は知らないだろう。あのとき、数多の応募者の中から美希を選び、連れてきてくれたその恩を――美希がどれほど「姉」のように慕っていたかを。

けれど中野航平を初めて見た瞬間。

美希は、完全に堕ちた。

会う前の三か月。美希にとって長谷川栞は、来世でも思い出して感謝したくなる人だった。

だが中野航平を見てから、その感謝は、嫉妬と羨望に変わった。

世の中は不公平だ、と美希は歯噛みした。

長谷川栞は、もともと十分すぎるほど優秀だ。容姿もいい。学歴も仕事も、誰もが羨む。

それなのに――...

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